巨匠・降旗康男監督の演出で
水谷豊&伊藤蘭、初“夫婦役”で28年ぶり共演!
【STORY】
昭和の初め、舞台は異国情緒あふれる神戸。
洋服仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)、熱心なキリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)のもとに生まれた肇[はじめ]少年は、好奇心が強く「なんで?」を連発し、「そんなのおかしい」と言わずにいられない正義感の強い少年だ。母の敏子がイニシャル「H」を胸に大きく編みこんだセーターを着ていた肇少年は、友達から「エッチ」というあだ名で呼ばれるようになる。
やがてヨーロッパで第二次世界大戦がはじまり、Hにオペラ音楽を教えてくれた近所の兄ちゃんがスパイ容疑で特高警察に逮捕されるなど、不穏な出来事が起こり始める。軍事統制が厳しくなりおかしいことを「おかしい」といえない日々の中、父の盛夫は周囲に翻弄されることなく、「おかしい」「なんで?」と聞くHに、しっかりと現実を見ることを教えていく。戦火を逃れたユダヤ人たちの服を密かに修繕するなどリベラルな父と博愛精神の母のもとでHは成長する。
昭和16年12月、太平洋戦争が始まり、盛夫は消防署に勤めるようになる。防火訓練競技大会、近所の兄ちゃんの出征、盛夫のスパイ容疑での取り調べなどを経験しHは中学に入学。学校では軍事教練が始まり、妹の好子は疎開をする。
昭和20年3月、ついに神戸をB29の大空襲が襲う。焼夷弾が降り注ぐ中、盛夫は街の消火にあたる。Hは父のミシンが焼けないように運びだし、母親と手を握り戦火の中を逃げる。命は助かったものの、神戸は焼け野原となり、Hの家は跡形もなくなってしまった。
終戦を迎えた神戸にアメリカの進駐軍がやってくる。疎開した好子も戻り、盛夫は焼け焦げたミシンを修理して洋服屋を再開する。だが戦争が終わった直後の急激な時代の変化と人の変わりようにHは矛盾を感じ不満を募らせていた。ある日、腹をすかせた見ず知らずの復員兵にご飯を分け与える母親に腹を立てたHは、盛夫を殴って家を飛び出し鉄道で自殺を図る。結局死にきれずに家に戻ったHを、盛夫はミシンを踏みながら迎え入れる。
15歳になり独り立ちをすることを決めたH。
神戸も日本も生まれ新しく生まれ変わろうとする激動の中で、
自分に忠実に生きるために、小さいが大きな一歩を踏み出す。
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